両家の(顔合わせ)を月末にやる、と父が(決めた)。(伯母)の八十川さんが電話で(言った)。「あかりちゃん、あなたは(日本語)がわからない人の面倒を見ていればいいの。段取りは私が組むから、あなたは当日、彼のそばに座っていて」。
私、二十八歳、(外国から来た)婚約者のレオと二人暮らしである。恋に落ちたのは三年前の(春)で、婚約してからは顔合わせの話がずっと出ていた。二つの言葉で動くのは私の(役目)なのに、(最近)は家の中でもそういう(認識)がない。
伯母は親戚の集まりを三十年(取り仕切ってきた)人だ。(熱意)があって、親しみやすい。人を(見下している)のではなく、自分の手で全部決めたいだけだと思う。(高慢)に聞こえる言い方をするが、軽蔑ではない。
「あちらのご(両親)は(礼儀作法)がわからないでしょう」と伯母は言った。「(気まずい)ことになる前に、こちらで席も(料理)も決めます。あなたが(口を出す)と、かえって大騒ぎになる。(もちろん)悪気はないのよ」。(断固とした)言い方だった。
レオは台所からお茶を(取ってくる)ところだった。(電話が終わると)「伯母さんは(熱心な)人だね」と言って、湯のみを二つ置いた。彼は人の(声)の(調子)で意図を読む。私が(青ざめた)顔をしていたのも、すぐ分かったらしい。
伯母が(送ってきた)段取りの紙は二枚あった。(項目)が十八(並び)、(席の順)から料理の品数まで書いてある。(任意)の欄も三つある。(それでも)私が見るべきものは二つだけだと、最初に見当をつけた。
(一つ目)は席の並びだった。(紙)では、両家が長い机の向かい側に分かれて座る。けれどレオのご両親は日本語を話さず、私の両親は彼の国の言葉を話さない。向かい合わせだと、通訳をするのが私一人になる。四時間、誰も席を立てない形である。
(二つ目)は(時間の長さ)だ。紙には二時から六時までと書いてある。言葉の通らない相手の(正面)に座り、互いにじっと見やるだけの時間は(つらい)。(立って動ける)時間が一つも入っていない。困惑が生まれるのは、たぶんそこだ。
(残り)の項目は伯母の(領分)である。料理の品数も、引き出物の(中身)も、私が口を出す話ではない。(招待状)の文だけは、二つの言葉で私が(書く)と決めた。そこは私が担当して、(代わりに)席の図を一枚出す。
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私は席の(図)を描き替えた。長い机を(やめて)、四人掛けを三つに(分ける)。一つの卓に両家が二人ずつ座る形にして、通訳の役を三人で分ける。レオのいとこが日本語を(少し)話すので、一卓を任せられる。(筋の通った)割り方だと、自分でも(思えた)。
四時間も割り直した。最初の一時間は顔合わせの(挨拶)、次の一時間で(写真)と庭を歩く時間、三時間目に(食事)、最後は(くつろぐ)時間にした。立って動ける時間が二つ入る。毎時間の区切りで、誰かが休める。
招待状は二枚一組で(作った)。(片面)が日本語、片面が彼の国の言葉。中身は同じで、時刻と(場所)と、三つの卓の図だけを入れた。並外れた文章は書かず、(待ち合わせ)の場所を(正確に)示すことだけを考えた。
レオのご両親に、三つの卓の図を(先に)送った。お母さまは「向かい合わせでなくて助かる」と(すぐに)返事をくれた。一時間で席を(替わる)形も、それならできると言ってくださる。(愛情深い)返事で、私の(自信)も少し戻った。
(水曜)の夜、私は伯母の家に(行って)、図と招待状を机に並べた。伯母は図を長いあいだ(見て)、それから自分の家の卓を三つに(分けてみた)。卓の間を歩き、座ってみて、また立つ。息を一つついてから、私の顔を見た。
「あかりちゃん、(面倒)を見ていればいいと言ったのは(撤回する)わ」と伯母は言った。「(向かい合わせ)だとあなた一人が通訳になる。それは段取りの失敗よ。三つの卓で行きましょう」。
土曜の親戚の集まりで、伯母は図を(広げて)から、(人前)でもう一度言った。「この席は、あかりが組んだものです。面倒を見ていればいいと言ったのは、私の(思い違い)でした」。
(父)は図を二度見てから、顔合わせの進行は私に任せると言った。私は礼を言った。(机)を三つに(分けて)、時間を四つに割っただけである。(誇らしく)言うようなことではないし、積極的に(手を挙げた)わけでもない。
当日は(晴れた)。レオのご両親は三十分前に現れて、玄関で(深く)(礼をした)。母がもごもご言いながら(手を出して)、お母さまがそれを両手で(取る)。言葉はなかったが、そこで何か決まった。あっけにとられたのは私である。
(挨拶)の一時間は、私が左右に動いて通した。父が仕事の話を(始めると)、レオのお父さまが(うなずいて)、自分の手帳に図を(描いて)見せる。二人の仕事は同じ機械の(測定)に由来すると、そこで(分かった)。
庭に(出た)一時間が一番よかった。レオのいとこが私の妹と(写真)を撮り、伯母が花の名前を指して教えている。妹は石段を軽やかに(下りて)、犬を(連れてきた)。立って歩いていると、通訳なしで(通じる)場面が増える。
食事の一時間で、席を一度替えた。母がレオの(隣)に座って、彼の国の(言葉)で三つだけ(覚えた)挨拶を言う。(勇気)を出したのが分かる言い方だった。レオは目を見開いて、それから声を上げて笑った。母の(陽気さ)が、そこで(部屋)に広がった。
伯母は最後の一時間、レオのお母さまの隣に(ずっと)座っていた。(言葉)は通らないのに、二人で写真を見て何度もうなずいている。(うらやましい)くらいの通じ方で、帰るときにはお母さまが伯母の(手)を(握った)。
父は玄関で、レオのお父さまと長く(握手)をした。「来年はこちらから行く」と言って、家族写真を(年代順)に並べた束を渡す。車まで送って、(荷物)を(降ろす)のも自分でやっていた。
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片づけのあと、伯母が台所で言った。「三つの卓は来年も(使う)よ。あかりが担当して」。私は(引き受けた)。彼女は(不平を言う)より、使えるものを取り込む人である。(寛容)というのとは少し違って、(休む)間もなく次の集まりの話をしていた。
レオは洗い物をしながら、母の覚えた三つの挨拶を何度も繰り返していた。発音が(少し)(違う)ところを、優しさのある言い方で(直している)。彼の(落ち着き)は、いつもこの家に(効く)。ためらっている人の背を押すのが上手なのだ。
招待状の(控え)は二枚とも(残した)。次は向こうの国で集まる番だから、同じ(形)で作ればいい。年1回の集まりにしようという話も、(相互に)出ている。季節を選ぶところから相談して(決める)。
(夜)、私は三つの卓の図を(冷蔵庫)に貼った。レオがその横に、彼のご両親の写真を一枚足す。並べて見ると、二つの(家)の形がよく(似ている)。